さよなら妖精 米沢穂信 ☆☆☆☆☆

悲劇的な分裂をしてしまったユーゴスラビア出身のマーヤを巡る謎解き+青春譚。
木村元彦さんのユーゴ関係の著書を読んでいて良かった・・・。
(木村さんの著作はサッカーを軸にしていますので、サッカーに興味が無い方は「民族浄化」が良いと思います)
タイトルにある妖精はPixyに非ずですが。

小市民シリーズの様な殺人を扱わない謎解きですが、ストンと落ちると言うより甘酸っぱさが読後感。
(それだけではないのですがネタバレ踏みそうなので・・・)。
でも、こういった感情を味わえるのは読んだ人がまだ若さを残しているからだと思います。

ユーゴの歴史を踏まえることと、謎解きと、一冊で2度おいしくなっています。
途中からぐいぐいと引き込まれるようになること請け合いです。
読後感は・・・人によりけりかもしれませんが。
背景設定が巧すぎます。

社会問題への関心の持ち方って、こんな形でも有りですね。