スタジアム 虹の事件簿 青井夏海 ☆☆☆☆

「スタジアム」とあるので野球ミステリーかと思っていました。
が、
良い意味で裏切られました。

探偵は野球を全く知らない球団オーナー。
なので、上手くルールの説明を組み込んでいて野球を知らない人でも(ひょっとして知らない人の方が?)楽しめます。
事件/謎が起きるのはスタジアムではないので野球は絡みません。
普通にミステリーです。
そういう意味では井上尚登氏のホペイロの憂鬱に近いです(これはサッカーチームが舞台ですが、サッカーを知らなくともOKという点で共通)。

では、なにが「スタジアム」なのかといえば、推理のヒントが野球のプレーなのです。
オーナーがプレーを見て、それの説明を受けることで真相を手繰り寄せます。
ヒントとなるプレーは、文中で説明されるのでご安心を。
場合によっては野球を知っている人の方が損をするのかもしれません。

警察がちょっと無能でギャグになってしまっていたり、
オーナーのキャラが飛んでいるだけに弱かったりしますが、淡々と読めると思います。
ただ、読み返してみると読者へのフェア度は弱い気がするので☆4つ。
でも、デビュー作(それも自費出版したものがやがて刊行なった)なので次作が楽しみです。